モノクロ
梢ちゃんはどんな様子かなと目を移した時、若菜さんが思い出したように声を出した。
「そうそう。明希ちゃんって隼人のこと好きなんだよね? まだ付き合ってる雰囲気はないけど、いい感じなんじゃない?」
「えっ!?」
「ふふっ。やっぱりね~」
「あ、あのっ」
くすくすと若菜さんは笑いながら、ぱくっとご飯を口に入れる。
完全に気持ちがバレてる……!
ていうか、この前は普通に振る舞っていたはずなのに、どこでそう見えたんだろう……。
私、そんな素振り見せたつもりはないのに!
戸惑う私を見て、若菜さんが口を開く。
「明希ちゃん、すごく顔に出るから、すぐにわかったよ」
「う……っ」
「ふふ。どこがいいの? 隼人の」
「えっ、と」
「うん」
「……理由とかってわけじゃなくて、何かいいなって。明るい笑顔も雰囲気も……何かいいんですよね。話すのもすごく楽しくて」
「そっか、うん。でも、そういうものだもんね。好きになるって」
「……はい。あ、でも」
「え?」
「付き合うとかいい感じとかは全くなくて。実はもうとっくにフラれちゃってて……」
「えっ!?」
「後輩としてしか見れないってきっぱり言われたんです。なのに、私は諦めきれなくて……むしろ、想いは膨らむばかりで。こういうの、ウザいですよねっ」
あははっと笑う。
胸は苦しく締め付けられるけど、笑って話せるようにならなきゃいけないんだ。
表向きは、先輩に対して恋愛感情は持っていないことにするって決めたんだから。