モノクロ
 


それからは先輩のことについていろいろ教えてもらった。

付き合う人は年上が多かったこと。

成績はトップクラスだったこと。

いつも友達に囲まれて楽しそうに笑っていたこと。

面倒そうにしたり文句を言いながらも、世話好きで、サークルの後輩にも慕われていたこと。

何だかんだ言いながらも真面目なこと。

いいところは多いんだけどね、と若菜さんは笑って話してくれた。

若菜さんの話を聞けば聞くほど、先輩の魅力に取りつかれていく私がいた。


「この前一緒にご飯食べた時、隼人の雰囲気とか表情が大学の頃とか1年前に会った時と違うように感じたから、もしかしたら今までと違って、本気で彼女とか好きな人でもできたのかなと思ってたの。そこに現れたのは明希ちゃんだったし、明希ちゃんと話す隼人はすごく楽しそうだったから、もしかしたら明希ちゃんがその相手なのかな、って思ったんだけど……」

「……残念ながら、だったんですよね」

「みたいね……。隼人の駄目なところは恋愛だけなのよね。私から見た感じ、だけど。そういう性格なのか、やっぱりその三神さんって人が好きなのか……それとも、別の何かがあるのか……」

「別の……」


考えてもわかるはずなんてないのに、つい考えてしまう。

……先輩をそうさせる理由は何なんだろう?


「まま~。こず、ねんね」

「梢。眠くなっちゃった?」

「ん~」

「あっ、ごめんなさい! 私の話ばっかりしちゃって。梢ちゃん、楽しくなかったですよね!?」

「いいのいいの。この時間いつもこうなの。そろそろお開きにしよっか。梢、おうちまで我慢できる?」

「う~、ん!」


梢ちゃんはきゅっと握った拳で目をごしごしと擦り、コクンと頷いた。

その姿にきゅんとしてしまったのは、言うまでもない。

 
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