モノクロ
 


「じゃあ、またランチしようね~」

「はいっ、是非!」


お店の外に出て、別れ際に若菜さんと梢ちゃんに手を振る。

でも梢ちゃんはひとりでとてとてと歩き出してしまって、それを若菜さんが慌ててひき止める。


「あっ、梢、待って」

「かわいいの~っ!」

「え?」

「かわいいねっ!」


梢ちゃんが若菜さんの手を引っ張りながら指差すのはひとりの女の人。

梢ちゃんの行動にきょとんとした表情をしているけど、目がくりっとしていて本当にかわいい人だと思った。

……今日は綺麗な若菜さんにかわいい梢ちゃん、そしてこのかわいい人……目の保養デーだっ!


「……わ、私のことなのかな?」

「かもな?」


女の人は少し戸惑いながら、隣にいる男の人の服をツンツンと引っ張る。


「かわいいねっ」

「あ、ほら、梢。指差しちゃダメよ? ごめんなさいね?」

「あ、いえいえ!」


「少しお話してもいいですか?」と女の人は人懐っこい笑顔で若菜さんに断りを入れ、しゃがみこんで梢ちゃんと同じ目線の高さになった。

 
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