モノクロ
*Colors02*
茜
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『……姉貴。さっき男といたよな? もしかして、彼氏か?』
『え? ……あぁ、見られてたのね。そうよ、彼氏。大人で、優しくて、すーっごくカッコいいの!』
『……ふぅん。大人ねぇ……』
弟……数馬(かずま)からの突き刺さるような視線を感じながらも、怜(れい)は自慢げに語る。
……数馬が自分を女として見ていることは知っている。
両親は再婚同士で、たとえ血が一滴も繋がっていないとは言え、数馬は弟。
姉として、その想いに応えることなんて許されないと“言い聞かせて”、怜はわざと最近できた“彼氏”の存在を主張する。
彼氏がいるとわかれば、きっと諦めてくれるだろう。
『……知ってる? あいつの本当の姿。』
『……は? 何よ、それ? 彼のこと知ってるの?』
突然の数馬の言葉に、怜は首を傾げる。
『よく知ってるよ』
『何で……!?』
『……あいつ……女でも男でも抱けるんだぜ?』
『…………なに、それ』
『つまりさぁ……、俺もあいつと』
『シたことあるんだよね』と、数馬が艶かしい声で囁く。
『な、なにそれ……意味、わからないんだけど……っ』
『わかるだろ? もういい年なんだからさぁ。あいつとは付き合い長いんだけど、あいつだけじゃなくてさ、俺も両方オッケーなんだよね。男はあいつ。そして』
『っ、』
『……女は、お前だ』
『!』
にやりと笑う数馬を、怜は大きく見開いた目で見つめる。
数馬が何を言っているのか全く理解できない。
呆然としていると、数馬の手が怜に伸びてきて、怜を掻き抱くように抱きしめた。
『!! ちょ……っ! 数馬っ』
『……今度さぁ、3人でイイコト、しようか? ぜってぇ気持ちいいからさ。なぁ、……怜』
『!?』
耳元で聞こえてくる怪しげな数馬の声と言葉を、怜は動けずに、ただ呆然と聞くことしかできなかった──。
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