モノクロ
 

「たまにはもがいてみるのもいいんじゃない? 意見を出すのはタダだしさ、小さなことでもそこから何かが生まれる可能性だってある。上の人もちゃんと聞いてくれるって。むしろ、佐々木さんが何か行動に出るのを待ってくれてるかもしれない」

「……」

「勇気だして、一歩踏み出してみたら?」

「!」


ぽふんと紀村さんの大きな手が私の頭の上に乗るのと同時に、ドキン!と心臓が大きく跳ねた。

……温かい。ふわふわと撫でてくれる感触がすごく気持ちいい。

トクントクンと心臓が心地よく鼓動して、ほわっと温かい気持ちになっていくのを感じた。

このままずっと、撫でていてもらいたいな……。

今まで感じたことのない初めての感覚に引きずり込まれていく。

すすんで仕事の話を誰かにすることもなくて、こんな風に仕事に対して背中を押されたのも初めてで。

こんな私でも一歩踏み出せるのかな……?

 
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