モノクロ
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──紀村先輩に恋してから、1年が経った。
その頃から企画書を作成していたブックカバー企画は、結局、気付けば新生活の時期やカレンダーの時期になってしまって、一旦保留になってしまっていた。
元々“機会があれば”だったようで、だからこそ、私みたいな下っ端の人間に託してもらえていたようだ。
私は元サヤに戻って、今までのように資料集めや纏め作業メインの仕事に没頭する日々を送っている。
ブックカバー企画は企画書まで書いたから、いつかは実現できる日が来ることを願っていたりするんだ。
でも、組織の下っ端が企画の実行を一存で決められるわけもないし、今はとにかく目の前の仕事をしっかりと勤めようと思う。
今の目標は、実際に動いている企画の仕事に携わること。
まだ具体的に携わってはいないけど、企画に関する意見を求められるようにはなったし、相談されることもあったりして、少しだけ企画の仕事に加われるようになったのも事実。
今では私の後輩も増えて、教育も任されていたりして。
そんな日々はどたばたしていて大変だけど楽しくて仕方がない。
そんなこんなしながら、私はまた年齢を重ねた。
そして。私と紀村先輩の関係はと言うと……。
「……さきこ。逃げるなって」
「やっ、だ、ダメですってば……っ」
「何だよ、ここが気持ちいいんだろ?」
「あ……っ」
私は熱くなる身体をくねらせ先輩から逃げようとするけど、先輩は私の手をがっちり掴んでいて、それは叶わない。
先輩の顔を見上げると、ばちっと目線が合った。
先輩は愉しそうな表情で私の表情をじっと見ている。
その魅惑的過ぎる表情に、心臓がドクン!と大きく跳ねた。
動揺してしまった私に気付いたのか、先輩はにっこりと笑顔を浮かべ、私の手をゆるりと触りながら私に近付き始める。
そして……。