モノクロ
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「……三角関係かぁ」
ぱたんとマンガを閉じ、マンガに夢中になりすぎて固まってしまった身体をほぐすためにぐーっと背伸びをする。
そしてそのまま背後にあるベッドに寄りかかるようにして、頭を預けた。
ある意味、私と先輩と三神さんの関係ってこと?
……いや、三角関係と言えるほど先輩にとって私の存在は大きいとは思えないけど。
私はこの主人公みたいな経験をする日は来ないだろうな、と思う。
私は惚れやすい方でもないし、だからといって惚れられやすいわけでもないから、ふたりの男の間で揺れるなんて経験をする日が到来することはないはずだ。
きっと、好きな人に彼女ができていくところを見ていくような寂しい人生が続いていくんだろうな……。
……奇跡が起こって、好きな人と結ばれたらいいとは思うけど……。
「それさえも難しいんだもん……って、別にいろんな人から好かれたいわけじゃないし、揺れたいわけじゃないけど、さ」
……私のことを好きになって欲しいのは、たったひとりだけ。
たったのひとりなのにそれが難しくて、叶うことは奇跡が起こるようなもの。
……可能性なんてゼロなのかもしれない。
やっぱり望みはないのかなと思うと、ハァと溜め息が出た。