モノクロ

　

「いやー、でも驚いた。さきこに彼氏がいたなんて」

「……はい？」

「そのショウって男と付き合ってんだろ？」

「……!?」


先輩の口から飛び出してきた言葉に私は耳を疑った。

……私とショウが付き合ってる!?　何でそうなるのっ!?

驚きのあまりあんぐりと口を開けている間にも、先輩は話を進めていってしまう。


「この前も抱き締められてたし、もしかしたらそうかなとは思ってたけど。それを探してたのも一緒に行くためにってことか」

「せっ、先輩、違います！　私とショウはそんなんじゃ……っ」

「別に隠さなくてもいいって。彼氏と一緒に仕事をするのは照れくさいのかもしんないけどさ。あ、佐山には俺からは何も言わないから安心して」

「だから違うんですって！　ショウとはただの友達で、付き合ってなんかいません！」


私は必死に否定する。

私が好きなのはショウじゃなくて、先輩なんだから。先輩には勘違いされたくない。

私は信じてほしくて先輩の瞳をじっと見つめて訴えるけど、先輩の口から出てきた言葉は……。


「いいんじゃない？　さきことあの男、お似合いだと思うし、隠さずに堂々としてれば。イケメン捕まえられて良かったじゃん。くくっ」

「……！」


愉しげな先輩の口調と表情に、心臓がどくん！と痛いくらいに跳ねる。

ショックだった。

そんな風に言うってことは、先輩の心に１ミリたりとも私の存在がないんだと、はっきり言われたってことだから。

そんなことはずっと前からわかっているはずなのに、どうしてこんなに悲しい気持ちになるの……？