モノクロ
 
**


週末、私は画材を買うためにちょうど街に出るというショウと待ち合わせをし、エンジェルランドのチケットを渡すことになった。

元々ショウが取っていたチケットも、チケットサイトでしっかり定価で譲渡済みだ。

ギリギリだったにも関わらず出品してすぐに譲ってほしいという連絡が来て、エンジェルランドの人気っぷりを改めて感じた。

ショウは「アキのおかげでいいものできてるし、今度絶対に礼するから!」とすごく感謝してくれたけど、「お礼はデザイン画だけで十分だよ」と答えておいた。

ショウの貴重な時間を割くわけにはいかないと、会って10分程度で私はショウと別れた。




街の雑貨屋さんを少し散策した後に私が向かったのは、あるご飯屋さん。

ニヤニヤと頬が緩むのを抑えられず、溶けてほっぺたが落ちてしまうんじゃないかと思うくらい私はデレデレとにやけていた。


「今日も梢ちゃん、さいっこーにかわいいね!」

「梢~、良かったね!」

「うん! あーちゃんもかわいいよっ!」

「~~っ、きゃーっ! 嬉しいっ!」


梢ちゃんの笑顔と言葉に対して、嬉しさのあまり、私はテーブルをパシパシと軽く叩く。

今日はもう何度目かわからない女子会。

メンバーはいつも通り若菜さん、梢ちゃん、私だ。

梢ちゃんは4歳の年中さんになり、会うたびにいろんなことができるようになっていて、私はただただ感心するばかり。

いつの間にか、私のことを“あーちゃん”と呼ぶようにもなってハキハキとしゃべるようにもなったし、たどたどしくはあるものの自分でお箸を持ってご飯を食べるようにもなった。

再来年の春には小学生になると言うから、またどんどん成長していくんだ。

すっかり親戚のおばちゃん化している私は、梢ちゃんの成長をほくほくしながら見守っていた。

 
< 212 / 299 >

この作品をシェア

pagetop