モノクロ
涙腺が完全に壊れてしまった私は、しばらくの間、子どものように泣きじゃくっていた。
だけど……その数分後、大いに慌てていた。
「ふえ~~っ」
「もう、梢ってば。そろそろ泣きやんで? ね?」
「わぁぁ~! ごめんなさいっ! 私のせいですよねっ? ごめんねっ? ごめんね、梢ちゃん~っ」
私が泣き止まなかったのが原因か、はたまた、涙が移ってしまったのか、梢ちゃんが泣き出してしまったのだ。
泣いている梢ちゃんを見るのはほぼ初めてなんだけど……やっぱりかわいい。
……って、ほっこりしている場合じゃない! 私のせいで梢ちゃんは泣き出してしまったのだから!
「梢ちゃん、ほんとにごめんね~っ」
「うえ~~っ、ひぐっ、ひぐっ」
「いいのいいの、謝らなくて。梢は自分の意思で泣いてるんだし、私も嬉しいから」
「へっ? 嬉しい、ですか?」
「ほら、梢。チーンして?」
「ふえっ、ひぐ、ひくっ……」
若菜さんが梢ちゃんの鼻をティッシュで拭くと、梢ちゃんはそれに擦り寄るようにしてひぐひぐと鼻を鳴らした後、チーンと鼻をかんだ。
「梢も人の気持ちを感じ取れるようになったのかなって。明希ちゃんが泣いてるのを見て、自分も泣いちゃうなんて。梢なりに、明希ちゃんが抱えてる悲しさを感じたのかもしれない」
「……」
「はい、梢よくできたね」
「ひくっ、んっ」
「お目目も拭こうね。目つぶって?」
「んっ」
きゅっと目を閉じる梢ちゃんの表情がかわいくて、また私は何故か泣けてきてしまった。
「……若菜さん、梢ちゃん、ありがとうございます」
「お礼なんて。私の方が言いたいくらいよ? いつもありがとうね」
「えっ?」
「明希ちゃん、梢のことをかわいがってくれるでしょう? 本当に嬉しいの。私も梢も明希ちゃんのことが大好きなのよ? 話を聞くくらいしか明希ちゃんのためにできることはないけど、話すことで少しでも楽になれればって思うの。もし迷惑だったらごめんね?」
「迷惑だなんて、そんなことありません! そんな風に思ってもらえて、すごく嬉しいです。一人で悩むのはほんとに苦しくて……でも、若菜さんに話を聞いてもらってたくさん泣いたら、少しすっきりしました」
「うん。それなら良かった」
「はいっ」
心からの笑顔を若菜さんに向ける。