モノクロ
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みんなが忙しく動き回る日々が2週間ほど過ぎようとする週末、ついにブックカバーの試作に回すことになった。
デザインなどの細かな資料はすでに準備してあり、後はあらかじめ予定を伝えていた業者さんに送って実際の製作に入ってもらうだけだ。
サンプル品の製作には暫く時間がかかるため、その間、私は別で進められている企画の作業の一部を任されることになるらしい。
自分が企画したものではないとは言え、続けて企画の作業に携われることがすごく嬉しくてわくわくする。
でもやっぱり今の一番の楽しみは、ブックカバーのサンプル品の出来上がりだ。
「はぁ……。いよいよ形になるんですね……!」
「そうね。みんなで頑張ってきたし、すごく楽しみね。佐々木さんは自分が手掛けた企画が形になるのって初めてでしょう? サンプル品と言っても、できあがってきた時の感動ってすごいの。自分が企画してないものでも、携わったものは全て。早く佐々木さんにも味わって欲しいなぁ」
「はいっ」
私が話しているのは3つ上の女の先輩である大嶋(おおしま)さん。
大嶋さんは結婚して子育てをしながら働いている、働くママ代表のような人だ。
ブックカバー企画では、他の企画の作業の傍ら業者さんとのやり取りや調整を主に担当してくれていて、私の担当分の仕事の相談にもたくさん乗ってもらった。
すごく頼りになる先輩だ。
大嶋さんとサンプル品ができてからの作業のことを話していると、総務部に試作申請伺い書を出しに行っていた佐山さんがオフィスに入ってきて、その途端、私の名前を呼んだ。
「佐々木さん!」
「はいっ?」
つかつかと近付いてくる普段にない佐山さんの様子に、私と大嶋さんは顔を合わせて首を傾げる。