モノクロ
頑張って作り上げてきたブックカバーを手にすることができた喜びはもちろん大きいけど、一緒に頑張って作業してきた仲間の笑顔もすごく嬉しくて。
同じように、お店で手に取ったお客さんからも笑顔を見ることができるかな、と想像すると、心臓が高鳴った。
感動と期待で感極まっていると、佐山さんが口を開いた。
「さ、これからが最終的な仕上げ作業だ。販促も含め、発売まで気を抜かずに細かい調整をしていこう」
「……はいっ」
まだまだ作業は続く。まだ気は抜いちゃいけない。
それからはデザイナーさんたちへの確認やサイズの確認、梱包やタグの確認、販促部への販促用チラシの依頼など、実際に商品をリリースするための作業に奔走する日々。
デザイナーさんたちからは一部色の調整が入ったくらいで、ほとんどの人が満足してくれていて。
aKiRaさん……ショウに至っては、1時間かけて電話で興奮を伝えてきたくらいだった。
そして一番重要となる営業や上層部への企画商品の見極めには企画部長と佐山さんだけではなく、私も同行することになって。
デザイン画の見極めの時も同じように同行したけど簡単に慣れるものではなく、私は緊張しっぱなしでそこに居ることしかできなかった。
でもリーダーである佐山さんは堂々としていて、様々な意見に次々と答えていっていて、好感触の状態で見極めを終わらせた。
そうして、出荷伺いまでが無事に通り、当初の予定通りの日程で、商品の製作に入った。
商品に関しては業者に任せるだけになったとは言え、企画部で行う作業は残っており、メインで動くのは佐山さんだったけど、補佐として私も他の仕事をしつつ作業を手伝っていた。