モノクロ
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「きゃー! 何これっ? どういう展開になるのっ?」
恋愛色が適度にあるくらいのお仕事マンガだと思って買ったマンガの展開に、私は悶えていた。
最近は妙にお仕事マンガとかあるあるマンガに目覚めていて、今日も例に漏れず、キャリアウーマンの女性が描かれた表紙のマンガを買ってきていた。
イケメン上司からの突然のキスと恋人宣言。
ドキドキするような展開に顔が緩む。
話の続きが気になりつつ、マンガをぱたんと閉じ、私はベッドの上に寝転がる。
「こういうマンガを進んで読みたいと思っちゃうなんて、何か、仕事に生きるお一人様コースに完全に乗っちゃってるよなぁ~。まぁ今が楽しいからいいのかもしれないけどさぁ~」
いい年をしたアラサー女が報われない相手に片想い。そして、仕事に没頭。
マンガでも小説でもドラマでもあるような、典型的なお一人様女子だ。
でもそういう作り物と違うのは、運命とか奇跡とかが現実には起こるわけがないということ。
平凡で地味な人生を一人で歩いていくんだろうなと思うとちょっぴり空しくなって、小さくため息が出た。