モノクロ
でも、二人の必死さは虚しく、梢ちゃんは二人の言葉をさっくりと否定した。
「んーん! こずね、しんくんとけっこんするのっ。おひめさまのどれす、きせてくれるんだって!」
「!!」
飛び出してきた梢ちゃんの告白に、ショックを受ける大の大人が約2名。
それを見てくすくすと楽しげに笑うのは若菜さんだ。
「ふふっ、梢にもボーイフレンドできたんだよねぇ~」
「若菜っ、お前知ってたのか?」
「当たり前でしょ?」
「若菜さん、“しんくん”ってどんな子なんですかっ?」
「幼稚園の子でね、すごくかわいくてイケメンなのよ~。お迎えに行くといつも手を繋いで一緒に待ってるの」
「きゃー! 梢ちゃん、やるぅ!」
きゃっきゃとはしゃぐ女性陣のテンションの高さに反して、がくりとうなだれる男性陣のテンションの低さは天地の差。
「ねぇ、梢ちゃん。しんくんって、どんな子なの~? あーちゃんにも教えてっ?」
「うん、いいよっ! あのねー」
梢ちゃんにそう訊ねると小さな恋の話を嬉しそうにしてくれる。
梢ちゃんの話がかわいすぎてきゅんきゅんしながら、私はほっこりした気持ちでいっぱいになっていた。