モノクロ
「幸太、一気にでかくなったんじゃね? 半年でこんなにでかくなるもの?」
「日に日に大きくなってくのが赤ちゃんのお仕事だもん! すくすくおっきく育ってるよ~」
「毎日見てても驚くくらいの成長だけどな」
「へー」
「……って、あれ? どなた?」
「!」
突然、女の人の目が先輩の後ろに少し隠れるようにいた私に向いて、私はびくっと体を震わせてしまう。
目がくりっとしていてすごくかわいい人で、キラキラと輝く目力に負けそうだった。
「あー、こいつ? ……俺の彼女。」
先輩の手がぽんと肩に乗り、私の体を抱き寄せる。
先輩はにやりと笑い、顔を私の顔に近付けた。
……い、今、彼女って……。
今自分が置かれている状況と先輩の放った言葉に、私は反射的に先輩から体を離し、叫んでいた。
「なっ、何、言ってるんですかっ!?」
「ぶはっ! さきこ、慌てすぎじゃね?」
「~~!」
あっ、慌てるに決まってるじゃないですか!
冗談で言ってるってわかっていても、心臓に悪いんですけど!
……という言葉を私は表に出すことができず、困惑して先輩の笑顔を見つめるだけだ。
先輩はふっと気が抜けたように表情を緩める。