モノクロ
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今まで私が見てきた先輩の言動を繋げていく。
点と点をひとつずつ繋げて線を作るように。1ピースずつ組み合わせてパズルを作るように。
好きな人の話や家族の話をした時、先輩の雰囲気や様子が違っていたりおかしかったりするように感じることがあった。
そしていつかの、先輩が取り乱していた電話。乱れたような飲み方。
先輩をあんな風にさせていたのは……妹の友美さん。
友美さんのことを大切な妹だと思っているからこその言動だとも考えてみたけど、それだけでは腑に落ちない部分がたくさん出てきてしまって。
先輩は友美さんのことを……と考えれば、全て辻褄が合うんだ。
先輩は何年もの間、ずっとずっと、許されない想いに苦しんできたのかもしれない。
許されない想いを忘れるために、彼女を作ったりもして。
でも、友美さんと圭斗さんの結婚を機に捨てられると思っていた想いを忘れることができず、今でも苦しんでる……。
これが先輩の心にある本当の想い。三神さんも言っていた先輩の心に潜むもの。
……先輩は三神さんには心の中にあるものを全て話してるの?
全てを知った上で、三神さんは先輩のことを受け入れようとしてるの?
疑問しか浮かばなくて真実はわからないけれど、「彼女と幸せにね」という友美さんの言葉に穏やかな笑みで頷いた先輩は、三神さんとこの先を過ごしていくことを決心しているということなのかな……。
先輩は自分が幸せになれる道、そして友美さんへの想いを断ち切ることができる道を、三神さんに感じているのかもしれない。
今までずっと、私の力で先輩を少しでも笑顔にできたら、なんて思っていたけど、所詮、私の独りよがりな自己満足でしかなくて。
そうやって何だかんだと理由をつけながら先輩を諦められずにいたけど、先輩が幸せになれる道を見つけたのなら、本当にもう終わりにしなきゃいけないんだ……。
先輩を本当に幸せにできて笑顔にできるのは三神さんなんだから。
私の出る幕なんて、もうこれっぽっちもない。
……私がするべきことはひとつ。
先輩への想いを捨てて、ただの後輩として先輩に接すること。