モノクロ
先輩の言葉に戸惑っていると、先輩がにやりと笑った。
「ぶはっ! 百面相おもしれぇ! さきこって、ほんっと単純っていうか、素直だよな~」
「!」
「冗談だって。さきこ、好きな男いるんだろ? それを邪魔するようなことしないって! 本気にすんなよ~」
「ひゃっ!?」
先輩の手が私の頭に伸びてきて、わしわしと掻き回した。
それ、冗談にならないんですけど……!
でももし、“彼女にしてください! 好きな人は先輩なんです”、って言っていたら、何か変わっていたのかな……?
もしかしたら、今のは先輩か神様がくれたチャンスだったのかもしれない……。
そう気付くと、一気に後悔が襲ってきた。
この先、今みたいなチャンスがあるとも限らないんだ。
今ならまだ間に合う?
焦った私は、次の瞬間には先輩の名前を呼んでいた。
「……先輩っ」
「ん?」
「あのっ……私っ」