モノクロ
藍
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『先輩のことが好きなんです! たとえ、彼女がいても……っ』
『……』
『ごめんなさい……好きになったりして……、っ!?』
遥(はるか)の腕を引き、その細い体を啓太(けいた)は抱き締める。
遥は何が起こったのか分からなくて、呆然としてしまう。
『せ、せんぱ』
『……彼女なんていない』
『え?』
『あれは……あいつの嘘なんだ。俺が好きなのは──』
『ん……っ!』
遥の唇に啓太のそれが触れる。
幾度となく角度を変えて重なる唇に、鼻から抜ける甘い声を出しながら遥の息は上がっていく。
ようやく唇が離れた頃には遥の身体の力は抜けていて、啓太の胸に寄り掛かってしまった。
その身体を力強く支えてくれているのは、紛れもなく啓太だ。
『お前のことが好きだ』
『っ、先輩……本当に……?』
『ずっと好きだった。もう、離さない』
『嬉しい、先輩……っ』
夕暮れに包まれた校内で、ふたつの影が重なった。
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