モノクロ
世界が変わった気がしても現実は変わらずだし、休日の過ごし方も全く変わっていない。
変わったのは私の気持ちだけ。
そんなものだよね、彼氏ができたわけじゃないんだし。
その時ふと、先輩に抱き締められた時のことを思い出した。
「っ、ひゃーっ!」
私はすぐ近くにあったクッションを掴んで抱き締め、そこに顔を埋めた。
あれってどういう意味だったのかな?
だって抱き締められたんだよ? 自惚れてもいいってこと? やっぱりダメ?
考えれば考えるほど期待は大きくなっていく。
私も先輩に言われたいな……。
「……好きだ、って」
私も好きって伝えて、それから、あんなことや、こんなことをして──。
私の頭の中には今まで読んできたマンガの中で行われていたコトがぐるぐると渦巻いていた。
「って、ナニ考えてるんだ、私っ!」
うひゃうひゃとニヤつく私は、かなり痛い女になっていると思う。
こんなの……きっとただのオタクよりもたちが悪い。