モノクロ
──気を取り直して。
佐山さんは私の5つ上の先輩で、入社した時から構ってくれる先輩だ。
そして、その辺のモデルにも負けないんじゃないかと思うくらいのイケメンさん。
仕事中はすごくクールで仕事がバリバリできる半面、実はおもしろいものが好きだったり、子煩悩だったり、会話もおもしろくて冗談を言ったりもする。
いい感じのギャップのある、すごく尊敬できる先輩だ。
……って、あれ? 佐山さんって5つ上っ!?
「佐山さんっ!何で教えてくれなかったんですかっ!?」
「は? 何を。企画書の作り方か?」
「違いますっ!」
「はぁ?」
「紀村さんのことですっ!」
「紀村……って営業の?」
「そうですよ! 二人とも私の5つ上だから同期ってことですよね! うわー、そうだったんだっ!」
「いや、話見えないから。確かに同期だけど紀村のこと知ってるのか? 佐々木さん、営業とは関わりないのに」
「はいっ! 実は──、っ」
いけない!
私は慌てて口を手で抑えた。
ポロっと“好きな人なんですよ!”と胸を張って言いそうになっちゃった。
危ない危ない……。