モノクロ
「企画、通るといいな」
「はい! もし何か言われたとしても、頑張ります!」
「うん」
真面目だった表情が、にっと目を細めて笑ういつもの先輩の表情に変わる。
やっぱりこの笑顔、大好きだなぁ。
ほくほく嬉しくて私も頬を緩めてしまう。
「俺さ、さきこのその前向きさ、好きなんだよな」
「……え?」
……今、「好き」って言ってくれた……?
もちろん、恋愛感情を示しているわけじゃないことくらいわかってる。
でも、「好き」という言葉がただ嬉しくて、感情が昂っていくのを感じる。
「最初は前に進もうとしないさきこにイラッとしたりもしたけど、今のさきこ、すっげぇいいと思う。応援するし俺にできることなら協力するからさ、いつかさきこの作った商品、俺に営業させてくれな?」
「……は、はい……!」
私がこくこくと何度も頷くと、先輩はくすくすと笑う。
先輩にそんな風に思ってもらえていたなんて、嬉しくて泣きそう……。
「よし」という声とともに、私の頭の上にぽんっと先輩の手が乗ってきた。
「!」
「さきこ、帰るところだったって言ってたよな? もう遅いし、送るよ」
触れた先輩の手と目に映る笑顔に、心臓が大きく跳ねて感情が溢れ出しそうになる。
……もう無理。
先輩を好きな気持ち、自分の中に抑えきれない……。
「……先輩……」
「ん?」
「あの、私……」
「どうした? さきこ」
先輩が首を傾げてキョトンとした表情を見せる。
そんな表情も、すごく好きだって思った。
……気持ちが、溢れだす。
「……私……先輩のことが、好きなんです」
「……え?」
気付いたら、私は先輩への想いを口に出していて。
感情が昂ったままの私の目に映ったのは先輩の驚いた顔だった。