モノクロ
 

「俺はそれに付き合うほど飢えてないからさ。馴れ馴れしく接して勘違いさせたなら謝るから。ごめんな?」

「……」

「俺、さきこのことはかわいい後輩だと思ってるから。それ以下でも、それ以上でもないんだ。だから、このままがいい」


私は先輩の恋愛対象にはならない。そういうことなんだ。

でも、このまま「はい、そうですか」なんて諦めることはできないよ。

少しずつでいい。先輩に近付かせてほしい。


「後輩って立場からでもいいんです。少しずつでも先輩に近付かせてもらえませんか? ……おこがましいことはわかってますけど、先輩好きな人はいないって言ってたし気持ちが変わることだってあるかも」

「悪いけど……ごめん。その可能性はないし、そういうつもりもないから」


可能性はゼロ。

きっぱりと言われた言葉に、私はそれ以上何も言えなくて。

笑みの消えた先輩をしばらく見つめた後、私は「……わかりました」と頷くしかなかった。

 
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