モノクロ
 

……佐山さん、エスパーですか?

まさにどんぴしゃすぎる質問に驚いてしまったけど、私は誤魔化す。


「そんなことないですよー! さっ、仕事しましょ!」


佐山さんの視線から逃げるようにパソコンに向かうけど、佐山さんの目は私を捕らえたままだ。

ただでさえ佐山さんの視線は鋭いのに、痛いくらいに視線をチクチク感じてしまう。

いつもみたいに早く仕事に戻ってください!と心の中で強く願うけど、私の願いもむなしく、佐山さんは私に言葉をかけてきた。


「佐々木さん。今日の昼飯は俺に付き合いなさい」

「えっ!?」

「先輩命令だから。拒否権なし。」

「な」

「さ。仕事するぞ」

「……」


パソコンに向かってしまった佐山さんにこれ以上言葉を掛けても無駄だということは経験済み。

……仕方ない。先週の先輩とのことを正直に吐くしかなさそうだ。

この際全部言ってしまって相談にのってもらった方が気も楽になるかもしれない。

……玉砕しちゃいました!なんて言ったら、さすがの佐山さんでも驚きそうだけど。

ふぅと小さく息を吐き、今日の仕事をさばくべく、私もパソコンに向かい始めた。

 
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