モノクロ
 

つきんと痛んだ胸に手をあてる。

もし先輩がまだ三神さんのことを好きだということが真実なら、私なんかが敵うわけない。

何の魅力もない私が先輩に告白しちゃったこと自体が間違いだったんだ……。

先輩との楽しい時間すら失ってしまった。


「……先輩に好きな人がいるなら、私は諦めるしかないですよね」

「佐々木さん」

「……ほらっ、私には現実の恋はできないってことなんですよ! 一瞬だったけど、いい経験になりました。人生、マンガみたいに簡単にうまくいかないってことなんでしょうね!」


必死に明るく振る舞って、私はあははっと笑う。

無理矢理にでも笑っていないと、泣いてしまいそうだった。


「何? 紀村のこと諦めるのか?」

「……実際、フラれちゃったんですよ? 可能性はゼロだって釘まで刺されて。諦めろってことです。仕方ないですよ~」


……そうだよ。フラれたんだからやっぱり諦めるべきなんだ。

これからは“かわいい後輩”として接するのがいい。

そうすれば、先輩の笑顔を見ていられるし、きっと楽しい先輩後輩の関係を続けていける。

そうやってまた、毎日を過ごしていけばいい──。

 
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