強引にされたら気持ち、揺らぐんだってば
押してダメなら引いてみろ
もちろん私はここで帰るつもりである。アイスも注文したかったが、そういうわけにはいかず、帰りにコンビニで買って帰ろうと算段しはじめた時、
「まだ時間大丈夫?」
と、ハルトに聞かれた。
「え!? え、いや、でも、まあ……」
どっちともなんともとれないような返事をしたものの、突然飲み会に乱入しておいて、二次会まで付いてくるとは失礼すぎではないか?!と思い直し、
「じゃあ行こう」
「えっ、いやでももう帰ります」
その方が多分周りが落ち着くだろう。ハルトはともかく、まだ数人がハルトと飲みたい
と思っているに違いない。
「帰るの?」
「え……まあ……」
そんな凝視して聞かれるとなんか困るんだけど。
「じゃあ今日は解散!!」
へ?って今行くって言わなかったっけ……き、気が変わったの!?
「よっしゃあ!! 家帰ってゲームしよ」
私よりも若そうな男子が笑顔でこぶしをあげた。なに、二次会って無理矢理なの?
「えー、誰か次行こうよ」
中年のおじさんがこちらを見て言ったが、もちろん知らんふり。
「じゃあ行きますか。俺いいとこ知ってますよ」
似たような風貌の男がそれに返事をした。
「えー、この2人ってないよなあ。アマミちゃんは暇?」
ヤンキー風の女の子が一人いたが、外見通り
「全然、もう帰ります」
と、きつい一言を放った。
「じゃあ紗羅ちゃん送るよ。今日は突然だけど来てくれてありがとう。皆盛り上がってたよ」
「えっ、ああ……」
え、今送るとか言った?
「車まわしてもらうからちょっと待って」
って、え゛―!? またぁ……。
「いえあのそんな、そんな飲んでないし、自分で帰れます!!」
「タクシーだとお金かかるし、せめてものお礼だよ」
その妙な紳士な態度が余計怖いが、素直に受け取る他ない。
「……ありがとうございます」
「じゃあ俺も一緒に乗っけてってもらおかなー」
「ユウ、暇でしょ?」
「うん、だから……」
「歩けばいいじゃん」
「うそぉ!!こっから一時間はかかるよ!?」
「(笑)。どうしても乗りたいというのなら乗せてってやるけど」
「ええよ、犬掻きで帰るから」
「(笑)犬掻き」
私とハルトは同時に同じセリフを出すと、笑った。
結局ユウジは同じ方面の人のタクシーで帰り、私はハルトのSPが運転する高級車に乗って帰ることになった。
「今日は突然すみませんでした。ありがとうございました」
強引に連れて来られた形ではあるが、結局全額ハルトが払ったらしく、とりあえず後部座席に乗るなり礼を述べた。
「……僕はね、今日はユウに感謝しなきゃいけないと思ってるの」
「え、何をですか?」
「予想もしてなかったのに、紗羅ちゃんに会えたこと」
ま、また始まった……。
「え、はあ……」
暗い車内で、ハルトがずっと前方斜め下を見ているのをいいことに、私はその横顔をただ見つめていた。
「ほんとはずっと会いたかったんだけどね……。時間が深夜だったりして連絡もしそびれたり」
いや、前回から一週間しか経ってませんけど!?
にしても、今日はえらく弱気だ。押してダメなら引いてみろ、のつもりだろうか。
「今日ユウが会ってると思うと、我慢しきれなくって……ちょっと無理言った。ごめんね」
「えっ」
思いかけず、目が合って動揺した。
「いっ、いえ!! 大丈夫です!!」
というか、ちょっとの無理ではなかった気がする。あの時ユウジは随分押されていたようだったし。
「気付けばユウに嫉妬してた」
「……」
えー、とかへーとかあーとか、全部違う気がして、黙った。
「……聞いてる?」
「えっ、あ、はい!!もちろん聞いてます……」
「また今度、会おう」
「えっ……」
「嫌なら別にいいから。良かったらまた、電話して。メールでもいいし」
「あっ、はい……」
そろそろ目的地に到着する。ハルトはそれを惜しむのを隠さず、
「あー……もう着いちゃうね……」
と、小さく言った。
「まだ時間大丈夫?」
と、ハルトに聞かれた。
「え!? え、いや、でも、まあ……」
どっちともなんともとれないような返事をしたものの、突然飲み会に乱入しておいて、二次会まで付いてくるとは失礼すぎではないか?!と思い直し、
「じゃあ行こう」
「えっ、いやでももう帰ります」
その方が多分周りが落ち着くだろう。ハルトはともかく、まだ数人がハルトと飲みたい
と思っているに違いない。
「帰るの?」
「え……まあ……」
そんな凝視して聞かれるとなんか困るんだけど。
「じゃあ今日は解散!!」
へ?って今行くって言わなかったっけ……き、気が変わったの!?
「よっしゃあ!! 家帰ってゲームしよ」
私よりも若そうな男子が笑顔でこぶしをあげた。なに、二次会って無理矢理なの?
「えー、誰か次行こうよ」
中年のおじさんがこちらを見て言ったが、もちろん知らんふり。
「じゃあ行きますか。俺いいとこ知ってますよ」
似たような風貌の男がそれに返事をした。
「えー、この2人ってないよなあ。アマミちゃんは暇?」
ヤンキー風の女の子が一人いたが、外見通り
「全然、もう帰ります」
と、きつい一言を放った。
「じゃあ紗羅ちゃん送るよ。今日は突然だけど来てくれてありがとう。皆盛り上がってたよ」
「えっ、ああ……」
え、今送るとか言った?
「車まわしてもらうからちょっと待って」
って、え゛―!? またぁ……。
「いえあのそんな、そんな飲んでないし、自分で帰れます!!」
「タクシーだとお金かかるし、せめてものお礼だよ」
その妙な紳士な態度が余計怖いが、素直に受け取る他ない。
「……ありがとうございます」
「じゃあ俺も一緒に乗っけてってもらおかなー」
「ユウ、暇でしょ?」
「うん、だから……」
「歩けばいいじゃん」
「うそぉ!!こっから一時間はかかるよ!?」
「(笑)。どうしても乗りたいというのなら乗せてってやるけど」
「ええよ、犬掻きで帰るから」
「(笑)犬掻き」
私とハルトは同時に同じセリフを出すと、笑った。
結局ユウジは同じ方面の人のタクシーで帰り、私はハルトのSPが運転する高級車に乗って帰ることになった。
「今日は突然すみませんでした。ありがとうございました」
強引に連れて来られた形ではあるが、結局全額ハルトが払ったらしく、とりあえず後部座席に乗るなり礼を述べた。
「……僕はね、今日はユウに感謝しなきゃいけないと思ってるの」
「え、何をですか?」
「予想もしてなかったのに、紗羅ちゃんに会えたこと」
ま、また始まった……。
「え、はあ……」
暗い車内で、ハルトがずっと前方斜め下を見ているのをいいことに、私はその横顔をただ見つめていた。
「ほんとはずっと会いたかったんだけどね……。時間が深夜だったりして連絡もしそびれたり」
いや、前回から一週間しか経ってませんけど!?
にしても、今日はえらく弱気だ。押してダメなら引いてみろ、のつもりだろうか。
「今日ユウが会ってると思うと、我慢しきれなくって……ちょっと無理言った。ごめんね」
「えっ」
思いかけず、目が合って動揺した。
「いっ、いえ!! 大丈夫です!!」
というか、ちょっとの無理ではなかった気がする。あの時ユウジは随分押されていたようだったし。
「気付けばユウに嫉妬してた」
「……」
えー、とかへーとかあーとか、全部違う気がして、黙った。
「……聞いてる?」
「えっ、あ、はい!!もちろん聞いてます……」
「また今度、会おう」
「えっ……」
「嫌なら別にいいから。良かったらまた、電話して。メールでもいいし」
「あっ、はい……」
そろそろ目的地に到着する。ハルトはそれを惜しむのを隠さず、
「あー……もう着いちゃうね……」
と、小さく言った。