殉愛・アンビバレンス【もう一つの二重人格三重唱】
日曜昼、玄関のチャイムが鳴った気がした。
でもモニターななは誰も映っていなかった。
それでも翼は戸を開けてみた。
玄関の脇に人気がする。
良く見てみると、それは翔だった。
「話があるんだ、ちょっと出ないか?」
翔が言う。
翼はそれに応じようと靴を履いた。
「親父とお袋の秘密を知ったんだ。お前も驚くぞ」
歩きながら翔が言う。
「何だよ?」
そうは言ったものの翼には思い当たることがあった。
田中恵が言った香のことだった。
「俺とお前、お袋が違うんだ。お前は親父が浮気して出来た子供だったんだ」
翼は翔のその一言にショックを受け立ち止まった。
でも……
解っていたことだった。
翼は、自分が薫の子供でないことを薄々感づいていたのだった。
「なあ。驚くだろう。でもな、その浮気相手が問題なんだ。よりによってお袋の妹だったんだ」
頭の中で翔の言葉が渦を巻いて翼の思考回路は停止した。
ただ……
やっぱりと言う思いはあった。
「何が双子だ。母親が双子で父親が同じだったら、そっくりに生まれて来るさ、俺達のように。お袋が可哀想だよ。何故お前なんか育てなきゃならないんだ」
翔は言いたい放題言った。
そして更に付け加えた。
「この厄病神! お前なんて産まれて来なければ良かったんだ。そうすりゃお袋は苦しまなくて済んだのに!!」
翔は捨て台詞を残して消えていった。
でもモニターななは誰も映っていなかった。
それでも翼は戸を開けてみた。
玄関の脇に人気がする。
良く見てみると、それは翔だった。
「話があるんだ、ちょっと出ないか?」
翔が言う。
翼はそれに応じようと靴を履いた。
「親父とお袋の秘密を知ったんだ。お前も驚くぞ」
歩きながら翔が言う。
「何だよ?」
そうは言ったものの翼には思い当たることがあった。
田中恵が言った香のことだった。
「俺とお前、お袋が違うんだ。お前は親父が浮気して出来た子供だったんだ」
翼は翔のその一言にショックを受け立ち止まった。
でも……
解っていたことだった。
翼は、自分が薫の子供でないことを薄々感づいていたのだった。
「なあ。驚くだろう。でもな、その浮気相手が問題なんだ。よりによってお袋の妹だったんだ」
頭の中で翔の言葉が渦を巻いて翼の思考回路は停止した。
ただ……
やっぱりと言う思いはあった。
「何が双子だ。母親が双子で父親が同じだったら、そっくりに生まれて来るさ、俺達のように。お袋が可哀想だよ。何故お前なんか育てなきゃならないんだ」
翔は言いたい放題言った。
そして更に付け加えた。
「この厄病神! お前なんて産まれて来なければ良かったんだ。そうすりゃお袋は苦しまなくて済んだのに!!」
翔は捨て台詞を残して消えていった。