君色【完】
絵梨も、俺だけを見て欲しいのに。
......本当は、本気で好きだった。
だけど、こんなのは初めてだからどうしたらいいのかわからなくて、
気づけば絵梨を傷つけてた。
絵梨だけは傷つけたくなかったのに。
ごめん、絵梨。
もう、許してはくれないと思うけど。
「おい、なにやってんだ!」
突然、左肩を強い力でつかまれた。
目の前には、見知らぬ男。
高校生か?制服は違った。
「......っ」
俺は、その男を睨みつけてから
さっきまで壁を殴っていた右手で男を殴ろうとする。
だが、それはなんなく止められてしまった。