君色【完】
颯太のお母さんとの出会いはつい最近。
颯太のお見舞いに来ると、あたしよりも先に来ていたお母さんがいた。
颯太のお母さんは、あたしたちが昔付き合っていたことを知っている。
「謝るのはこっちの方だわ」
いつものように、優しい表情で、優しい口調でそう言った。
「え?」
「絵梨ちゃん、颯太に散々酷いことされたでしょ?」
「...」
「颯太、色んな女の子と仲が良かったのは知ってた」
「...」
「だけど、本当に好きな子が出来たのなんて...あなたが初めてなのよ。絵梨ちゃん」
「......あたしが...?」
「この子の母親だもの。それくらいわかるわ」
「......」