君色【完】
失恋
「絵ー梨っ。今日の放課後あいてる?」
「え?」
颯太が、ご機嫌で話しかけてきた。
“あの”日から数日後。
颯太はいつもと変わらなかった。
“あの”光景を目にしてしまった次の日も、颯太はいつもと変わらない笑顔でいた。
......少し怖いと思った。
それでも、その気持ちを押し殺してあたしもできる限り平然を装った。
「放課後?」
「そう。こないだの埋め合わせ」
「...こないだ?」
「買い物付き合ってって言われてたじゃん?それだよ」
「...あぁ...」
「カラオケでもどう?おごるよ」
「えっ、悪いよ...」
「いーのいーの」
「......じゃぁ...」