ヤンキー×お嬢様
プロローグ
「親父、これいつになったら終わるの?」
「ユイ兄、面倒くさいんですけど」
「・・・」
「・・・しゃべっている時間があるなら、運べば?」
ある都会の家で、4人の人が大きい段ボール箱を運んでいた。
「うわ、ミウ姉厳しいっ!」
「おい、キヨ。今に始まったことじゃないだろ」
・・・なんか、弟×2から失礼なことを言われた気がする。
「あぁあ、引っ越しってこんなに面倒くさいなぁ」
しかし、弟×2より失礼なことを言う人がいた。
「・・・父さん、引っ越し屋呼べよ」
私が疲労と呆れを交えたため息をつきながら父さんを見ると、目が合った。
「こら、美雨ッ!ちゃんと、運びなさい!」
なぜ、父さんに説教されてるのだろう。
私+弟×2は、それなりに引っ越しの準備をしているのにも関わらず、コイツは・・・
「おぉぉ、カワイィなぁ!コロ、お手!」
「ワンッ!」
コイツは、つい最近飼いだした犬ーーコローーとのんきに遊んでいるのだろう。
「運ぶ気がないなら、引っ越し屋呼べよ」
「美雨、実はだなぁ・・・
我が家には金がないんだ」
「ほぉ、コロを飼う金があるのに?」
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