ヤンキー×お嬢様
第1ボタンを開けネクタイを緩めるワイシャツの上に黒いブレザーを着る。
ブレザーのボタンは開ける。
セミロングの茶色い髪の毛にこの制服は、似合わないなぁ。
全身鏡に映る私の顔は、なぜだか少し曇っていた。
「行ってきます」
1階に下りリビングにいる3人+1匹に、声をかけた。
振り向いた3人は、目を丸くした。
「美雨、似合うな」
お世辞?
思わず口に出そうになった言葉を押し込め、代わりにありがとうと言った。
キヨとユイは今まで学ランだっため、ブレザーはやっぼり新鮮だった。
キヨは、第1ボタンをきっちり閉め、きっちり赤いネクタイを閉め、きっちりブレザーのボタンを閉めていた。
少し長いのか、ズボンの丈が折ってあるのを見て、口角が思わず上がった。
ユイは第1ボタンは当たり前のように開けていて、当たり前のようにネクタイが緩く、当たり前のようにブレザーのボタンが開いていた。
制服がよく似合う2人は、きっと学校に行くなり指を指されきっと女子に騒がれるのだろう。
スクバをリュックのように背負い、革靴を履きながら愛用のウォークマンを出した。
「行ってきます」