ヤンキー×お嬢様
生憎、1時間目が始まるまであと5分ある。
そうだ、柊に助けてもらおう!
と右を見ても、誰も居ない。
ちくしょう、つかえねぇ。
そう企んでいるときも、アイカは話している。
「咲丘さん、みんなあなたと仲良くなりたいから話かけているの」
私は頼んでいないけどね。
「だから、無視しないであげて?」
別に仲良くする気が、無いだけだし。
また、あんなこと経験したくないし。
ぼんやりしていると、目の前に手が出された。
「あたし、神山 愛華〈かみやま あいか〉。よろしく」
ニコッと微笑む彼女の姿に、何かがかぶった。
なんだっけ。
何かに似ている。
考えたいけど、これ以上考えるといけないような気がする。
「・・・」
「わっ」
結局私は、神山から無言でイヤホンを奪い取った。
別に、よろしくする気も無かったし驚いた表情を彼女がしていても無視できた。
キーンコーンカーンコーン
タイミングが良いのか悪いのか。
チャイムが鳴った。