ヤンキー×お嬢様

現実で私の名前を呼ぶ声が、聞こえたから。

パチッと目を向けると、高級そうなスーツを着た73(しちさん)分けの男性が居た。

コイツ、数学のセンセーだ。

高級スーツの先では、今にも笑いそうな柊が居た。

ムカつくな。

しかし、高級スーツの怒りは私に向かってらしく、

「ほう、転入初日の初授業はつまらないか?」

訳:てめぇ、俺の授業で寝てるんじゃねぇよ

「えぇ、とても。説明が長く、その割には下手な話がつい子守歌に聞こえまして」

訳:アンタの授業、くそダルイから仕方ないだろ

勝手に動いてベラベラ喋る口。

そうだ。

私最初の5分は、起きてた。

でも、あまりにも暇過ぎて寝ちゃったんだ。

「咲丘、前に出て解きなさい」

訳:間違えて恥かけばいい

ふっ、考えが見えみえなんだよ。

しかし、

「分かりました」

売られた喧嘩は買う。

「あれ、応用問題だよね?」

「まだ解き方習ったばっかりだし」

チョークを持って、黒板に初めて視線を向ける。

きったない字。

なんとか暗号を解読する。
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