ヤンキー×お嬢様
ピタリと足が止まった。
私は本当に強くなったのだろうか。
そもそも、私のいう『強い』とは何を指すのだろう。
本当は、ただわすーーーー「パァーン!!」
「早くどけ!急いでるんだ!」
さっきの大音量の音の正体はクラクションだった。
自動車の窓をわざわざ下げ私にいちゃもんをつけるおじさんに、初めて気が付いた。
自動車1台通るのがやっとの狭い道路のド真ん中に、私は立っていた。
そりゃあ、邪魔だわ。
慌てて道路の端に避け、私の前を通り過ぎた自動車を無意識に見送った。
そして後ろを振り向いたとき、しまった、と思った。
そこには、知らない風景が広がっていた。
そりゃあ、引っ越ししてきたばかりだ。
何キロも離れたところまで走ったら、現在地も分かるわけがない。
冷や汗をかく自分を落ち着かせ、近所を歩くことにした。
もしかしたら、見知ったところに行けるかも。
それにしても、
「ーーーー腹減った・・・」
ぐぅぅ~と、情けない音を出すお腹をなでる。
あぁ、おとなしく引っ越しの手伝いをすれば良かった。
後悔の気持ちを胸に、少し上を見上げたときだった。