闇
お見舞い
†
「全く、また熱 出したの?」
そう苦笑する声が聞こえて、俺は黙って頷いた。
「ほんと、躰 弱いんだから。今日は大人しく寝てなさい。」
――それは、10年以上 前の、幸せな記憶。
ああ……あの頃に、帰れたなら。
頭を撫でてくれる母の手は、いつの間にか ねっとりとした、卑らしい手で、肩を撫でる。
隣に居るのは――歪んだ人。
「大丈夫、可愛がってやるからさ。」
――嫌だ……!!
でも俺は、抗えない。
だって彼は――。
†