「……う"っ……。」

母親が仕事で家には誰も居ない私の家で、翔織は呻き声を上げた。

母親が看護士だと言う舞ちゃんが、必死に止血する。

「……取り敢えず、あたしは これ以上、何も出来ない。」

額の汗を拭って息を ついた舞ちゃんの手を、私は握った。

「有り難う……っ。」

「でも、これで ほんとに良くなるか、あたしも解んないから……。」

舞ちゃんの言葉に、ううんと首を振って、私は皆を見た。

「皆も……有り難う。来てくれて。」

私のメールを見た曽根倉君は、舞ちゃんと葵ちゃんを呼んで、直ぐに駆け付けてくれたのだ。

その時。

「……ん……。」

小さく息を ついて、翔織が僅かに目を開いた。

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