「翔織っ!?」

私が慌てて顔を覗き込むと。

翔織は見慣れない天井を黙って眺めてから、はっと目を見開いた。

「海崎、お前……っ。」

「良かった……翔織が目を覚ました……。」

抱き付く私を乱暴に押し退けて、彼は無理矢理 立ち上がった。

「俺に関わるなと言った筈だ!!」

「私が どうしようと、私の勝手でしょ!?」

「…………っ。」

翔織は ちっと舌打ちすると、私の部屋を出ようとして……床に崩れ落ちた。

それを優しく受け留めたのは、曽根倉君。

「……は……痛っ……。」

「まだ動ける状態じゃないっつの。助けてくれた海崎に感謝しろよ!」

曽根倉君は乱暴に、翔織を私のベッドに寝かす。

「助けてくれなんて、頼んでない。」

「そうゆう可愛気の無い事 言わねェの。……警察に電話するからな。」

携帯を取り出す曽根倉君。

私も、それが良いと思う。

此処迄 事が大きくなってしまった以上、私達には もう……。

「止めてくれっ!!」

悲痛な叫び声が聞こえて、私達は はっと翔織を見つめた。

彼の紅い瞳が、曽根倉君を真っ直ぐに見つめている。

「祐貴さんは悪くない!悪いのは……俺なんだっ!!」

そう叫んだ翔織の瞳から、透明な雫が1つ。

ぽろりと、零れた……。

< 141 / 189 >

この作品をシェア

pagetop