闇
その夜、私は夢を見た。
10年前の、封印していた記憶。
お父さんが――死んでしまった記憶。
その時の事を、私は全然 覚えていなかったけど、夢を見て、思い出した。
白い天井、白い壁、白い床、白いベッド、白い――お父さんの顔。
優しかった お父さんは、癌で亡くなってしまった。
私は今だに信じられなくて、病室を飛び出した。
其処で、1人の少年に出会った。
白銀の髪、紅い瞳。
凄く、綺麗だと思った。
「お父さんが……死んじゃったのっ。」
泣きじゃくる私を抱いた、彼の長い睫毛が、少し揺れた。
「俺も……父さんと母さんが、死んじゃった……。」
私は その言葉に顔を上げる。
「私、みさき。貴方は?」
「俺は――としき。」