次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。

「…………。」

ぼんやりと白い天井を見つめて、自分の呼吸の音だけを聞いて。

俺は、生きている事を、実感した。

それから、熱に浮かされ、昏々と眠り続けて。

目を覚ました時、警察に引き会わされた。

病室に入って来た警察が話したのは、祐貴さんが俺の両親を殺した事――俺の仮定が、確信へと変わる瞬間だった。

両親が殺された時、警察は犯人を捜し出す事が出来なかった。

「……役立たず。」

そう呟いた俺に、警察は深く頭を下げて、これからの事を話した。

祐貴さん達が釈放される迄、独りで生きるか。

全然 知らない赤の他人の、養子に なるか。

俺は前者を選び、自分が生まれた町へと、戻って行った――。

< 161 / 189 >

この作品をシェア

pagetop