闇
次に目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。
「…………。」
ぼんやりと白い天井を見つめて、自分の呼吸の音だけを聞いて。
俺は、生きている事を、実感した。
それから、熱に浮かされ、昏々と眠り続けて。
目を覚ました時、警察に引き会わされた。
病室に入って来た警察が話したのは、祐貴さんが俺の両親を殺した事――俺の仮定が、確信へと変わる瞬間だった。
両親が殺された時、警察は犯人を捜し出す事が出来なかった。
「……役立たず。」
そう呟いた俺に、警察は深く頭を下げて、これからの事を話した。
祐貴さん達が釈放される迄、独りで生きるか。
全然 知らない赤の他人の、養子に なるか。
俺は前者を選び、自分が生まれた町へと、戻って行った――。