闇
「……椎名、君?」
椎名君は私を ちらっと一瞥すると。
「別に。どうでも良い。」
ぶっきら棒に呟いて、屋上へ続く階段を上って行ってしまった。
「何よ あいつ。女の子が泣いてんのに慰めも しないなんて。」
「まぁまぁ。」
曽根倉君は、葵さんを宥める。
「そう言うなって。海崎が危ないって教えてくれたの、あいつだから。」
その言葉に、女子3人は驚いて、曽根倉君の顔を見つめた。
「……何よ それ。気付いてたんなら、自分が助けてあげれば良かったのに。」
「だから、そう言うなって。あいつ、そんなに悪い奴じゃないんだぜ?」
「知らないし そんな事。話し掛けても無視するんだから。」
葵さんは益々 嫌そうな顔を した。
「……あの。」
そんな2人に、私は躊躇いつつも話し掛けた。