溺愛トレード
「そうだよね……プンちゃん。私、間違ってるのね…………」
こ、このパターン……最悪の展開だ。
「人を好きになるって、物を買うこととは別次元のことなのよね…………」
実乃璃は、未亡人が喪主としての挨拶をする時のように沈んだ声を出す。大きな瞳からは、大粒の真珠のような涙が零れた。
「でもぉ……私、選べない」
「おいおい、同じ次元でとらえてますよ。実乃璃さん」
うわぁん! と泣き出した実乃璃は、私の腕の中にいた徹平を突き飛ばすと、自分がそこにおさまった。
女の子らしい白くて柔らかい肌が触れる。こんなに柔らかいんだ……背中を撫でてとんとんしてあげると実乃璃は子どもの頃とかわらない「ふぇえん」という泣き方になる。