溺愛トレード

「なおちゃん、海鮮と生。瀧澤さんもビールでいいですか?」


「乃亜に任せるよ」

 
「大ジョッキで、生、二つ」


 なおちゃんは、両手を頬の横で握りしめて「お待ちくださぁい」と瀧澤さんにウインクした。


「いい店だね。また新しい乃亜を知れて嬉しいよ」


 ここに連れてきたのは、何も瀧澤さんに私を知ってもらうためじゃない。

 庶民なんかとは付き合えないって知らしめてやろうと思った。こんな空気の循環の悪い店で、ビール飲んでお好み焼き食べるなんて瀧澤さんなら耐えられないはずだ。


「はい、生二つお待たせぇ」


 今日は語尾がぐだぐだしすぎてるなおちゃんが、温かいおしぼりと生ビールを並べて置いた。それに瀧澤さんの前だけにお通しのキクラゲが出てきた。


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