白の龍~私を救った暴走族~
教室へ行くと、大地は私を一番後ろの窓際の席に座らせた。
そして一言。
「今日からここが美空の席だ。」と言うんだけど・・・。
「勝手に決めていいの?」
「いいんだよ、白龍には誰も逆らわないから。たとえそれがセンコーでもな!」
そう言う大地は私の隣に座り、そして、てっちゃんは私の前の席に座った。
それから少ししてから現れたのは・・・。
「おっはよー!テツ!!っと大地くん!」
そう言って現れた彼女はてっちゃんの横、つまり私の斜め右前の席に座った。
そして私に視線を向けた。
「かっわいい~!この子がテツが言ってた子?」
「おう、そうだぞ!仲良くしろよ?」
てっちゃんにそう言われた彼女は、私に話し掛けてきた。
「私はテツの幼馴染の大宮怜!(おおみや れい)よろしく!!」
そう言って手を差し出してきた彼女は、ナチュラルメイクの茶髪でボブヘアの大人っぽい感じの人だった。
私は眉を整えているだけのノーメイクで、胸まで伸びたストレートの黒髪。
大人っぽい彼女に比べると、子供っぽさ引き立つ。
差し出された手を握りながら、一応名前だけは言う。
「早瀬美空です。」
すると隣に座る大地が口を挟む。
「俺の幼馴染だから。」
「そうなんだー!じゃあ、私とテツみたいだね!」
い、いや、私に言われても分からないし・・・。
戸惑う私にお構いなしの彼女。
「美空って呼んでいい?私のことは怜でいいから!」
その問いかけに、私は頷くことしか出来なかった。
やっぱり不安だな、人と関わるのって・・・。
不安顔な私を見逃すことのない大地は、優しく微笑んで頭を撫でてくれた。
大丈夫、俺がいるから、大丈夫というように。
本当、大地はお兄ちゃんみたいだなーなんて思っていた。