君に愛の歌を、僕に自虐の歌詞を
終章





終章







傷付けたあなたへ 何も出来ないけど
何時も笑って居られる様に 僕も少し生きるよ


少し感覚が消えて 冷たい指先だけど
何時か その冷たさも 癒やして生けると思ってる


涙と笑顔が溢れたら 君が又 愛しく思えてくる
サヨナラなんて悲しすぎるから 笑って「またね」と言ってくれ




逃げ出す事だけで 何も出来ないから
人の痛みを許せる様に 僕も少し生きるよ


少し痛みが生まれて 冷たい指先だけど
何時か その冷たさも 温められると信じてる


あなたの笑顔が溢れたら 本当の温もりに包まれた
「ごめんね」は何時でも言えるから
「ありがとう、僕はまた生きられる」




また淋しい夜が来て 真っ暗な時間が来る
また僕らは進んでく また何処かに歩き出す
これからも


皆に心が有ったなら 世界は美しく廻るのです
人は自分の中身しか知らない 他人の心は他人のもの


何時か大人に成った刻は 君も又 許してくれるのかな
「愛してる」なんて未だ言えない もう少し、もう少し、笑いながら


もう少し、もう少し、待っていて





………………………
………………
………






久々に彼女を見つけたのは、CDショップのポスターの中だった。 操られたように試聴コーナーで彼女の曲を聴いて、泣いてしまった。 慌てて頬を拭ったが、また溢れてきた。



彼女は、あれから五年経っても綺麗だった。
一年前に、相楽俊太郎と結婚したというニュースがあった。


彼女はもう、僕とは違う世界に居るのだ。


いまだに未練はある(情けない)が、彼女はこれで良いのだ。

あのまま僕と付き合い続けていたら、きっと今みたいに、生き生きとした表情で歌えていないから。


「頑張れ、草野さん」


小さな声で呟く僕の背中に、「ハルカ! おなかすいた!」愛すべき我が恋人の怒鳴り声が掛けられる。


「はいはい。 何食いたいの?」

「CoCo壱だろ! ハヤシライス」

「カレーじゃないのな………」


恋人に腕を組まれるがままにして、試聴コーナーを後にした。 そしてもう一度、同じ言葉を胸の中で繰り返した。



頑張れ、草野さん。







「……………ついでに相楽さんも」

「ん? 何か言った?」

「別に? アヤメちゃんは可愛いなーって言ったの」

「う、うるせえ! 死ね!」

「痛い! 褒めたのに殴られた………」





















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