合縁奇縁～去る者は追わず来る者は拒まず

……ま、いっか。

ここでしんみり一人酒も味気ない。

こんな男でも、居れば気が紛れるかもしれないじゃないかという前向きな姿勢に自分を切り替える。


うん、そうだよ。

ここは年の功で余裕を見せなくちゃ。

先輩なんだし。


ところが……、そう決意したわたしの作り笑顔は、奴の爆弾発言で吹き飛んだのだ。


「桜井さんにくっついて来た、あの藤井理梨香（ﾌｼﾞｲﾘﾘｶ）って、俺の同期なんすよね」


桜井というのは誠のファーストネームだ。


「えっ、き、きみっ……、な、なんでそれをっ……」


顔面が引きつるのを押さえられない。

リリカというのは誠を追ってやってきた彼の新しい女のことだ。


この男がその状況を知っているということは、あの場にいたってこと?!


わたしの思考は完全に停止した。