合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず

「ま、あの藤井理梨香の策略にまんまと引っかかる桜井さんも桜井さんですよね。

巨乳ってだけで藤井なんて何の取り柄もない女ですよ。

仕事は雑だし、気は利かないし。

あいつのホチキス止めって、角が揃ってないんすよ、ありえねぇ~

ちょっと席を立つと三十分は戻って来ないし。

あんなにサボって同じ給料って、詐欺でしょ。


あ、でも若いってだけで価値があるのか?


同年代の俺としては全然わかんないっすけど……」


そこまで一気に捲し立てて、山城一騎は驚いたように口を噤んだ。


「山村さん、何で泣いてるんっすか?

俺、慰めてるつもりなのに……」


わたしとしたことが、不覚にも涙を流してしまっていたのだ。
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