合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず


誠が課長に昇進するのは目出度いことだ。

女にモテルことも彼にとっては誇らしいことだろう。


でもその代わりにわたしが被った損失は計り知れない。

三十半ばの敗北。

この先、好きな相手に巡り会ったとして、結婚、出産、子育て、と順調に事が運ぶとは思えない。

多分、恐らく、その内のいくつかは諦めなくてはならないだろう。

それが今のわたしの歳のリミットだったのだ。

誠となら、お互いに譲歩しながら歩み寄って、上手くこの先の人生を進んで行けると思っていた。

その為の同棲三年間だった筈なのに。

巨乳女の横槍にまんまとかっさらわれるような、誠にとって、わたしとの関係はそんな軽いものだったのかと思うと涙が出た。


嗚呼……、


可愛そうなわたし……
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