合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず


「あんたも、そんなくだらないこと言う為にそこに居るんだったら、目障りだから消えて!

わたしは、前向きなこれからの人生について、一人でじっくり考えるんだから」


わたしは四杯目の生ビールを飲み干して、カウンターにグラスを置いた。


「木村さんの前向きなこれからの人生って何ですか?

俺、すっげぇ興味あります」


山城一騎が身を乗り出して迫ってくる。



「ま、まだわかんないわよ……、これから考えるんだから……」



勢い任せて口をついた言葉尻をとらえられて、わたしは思わずたじろいだ。



嗚呼、もうこれ以上考えたくなんて無いのに……


わたしは酔って寝たいだけだったのに……
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