合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず



「誠さぁ~ん」



媚びた女の甘声が、わたしの後ろから悪魔のように迫ってきたのだ。

「うわっ、な、なんだリリカ、店で待ってろって言っただろ」

振り向いて慌てた誠の顔が、みるみる崩れていく。

「だってぇ、リリカ一人じゃ寂しくて……

それに……、マコちゃんが元カノと会ってるって思ったら、ここんとこが苦しくって……」

ほらっ? と、その女は自分の大きな胸に綺麗なネイルを施したオモチャみたいなその手を重ねて、誇らしげに突き出して見せた。

「リリカ……、ごめんよ、もう話は終わったから」

アララ……

聞いたこともないようなキッパリとした口調に驚くわたしの目の前で、こともあろうにあいつは、その巨乳女をしっかと抱きしめたのだ。
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