合縁奇縁~去る者は追わず来る者は拒まず
「……オイオイ、尋常じゃないな。
コラ若者、年上を怒らせちゃイカンヨ。
ホイ、なめろう一丁上がりっ!」
マサさんの声で我に返ったわたし。
いかんいかん、大人の威厳を見せなくちゃ!
「そうそう、年上は敬いなさい!
ましてわたしは会社の先輩、いつ上司になるとも限らないし。
今日はもう一人にさせてくれるかな。
ゆっくり寛ぎたいんだよね。
疲れてるの」
わたしは精一杯の見栄を張って、山城一騎に向き合った。
兎に角何かお腹に入れて、兎に角アルコールで気分を解して、兎に角ゆっくり眠りたかった。
だけど彼はやっぱり悪びれもせず、上から見下ろすようにこう言ったのだ。
「ほんとは寂しいクセに……」
そこでわたしの堪忍袋の緒が切れた。